こないでこないで
そのおおきなかまで、どうしようというの
ああおそろしいおそろしい
きっとそのおおきなおそろしいかまで、わたしのくびをかるのね
いたいのはいや、いたいのはいや
こないでこないで
お前たちはそうして悪戯に我らを恐れ怖がるがな
我らがカッテやらねば一生そこら辺をうろうろする羽目になるのだぞ
寧ろ感謝して欲しいくらいだ
我らは常にお前たちを導いてやっているというのに
大体痛い、なんてものは最早お前たちには関係の無いことだろう
死んでいるのだから、当然痛覚なんてものも無いのだ
例え首を切り離されようと、痛いなどと感じることは無い
それにだ、何故これが鎌なのだ
既に目も見えていないくせに、何故鎌だとわかる
なにをいうの
かまじゃない
おおきくてくろくてひかりにすかすとぴかっとひかる
きっとすごくきれるのでしょうね
ああこわいこわい
だから何も見えないだろうが
何故黒なのだ
そうそう、加えてお前たちは我らが黒い服を着ているなどど言う
これのどこが黒なのだ
全く違うではないか
くろいわよ
だってしにがみはくろいふくをきているものよ
あたりまえじゃない
そもそも死神という呼び名はなんなのだ
不本意極まりないぞ
確かに、死に係わる神の如く存在というのは当たっているかもしれぬがな
お前たちは不吉な意味合いを込めて呼んでいるのだろう
不愉快だ
そんなことをいわれても
そうやってつたえられてきたの
しかたないじゃない
じゃあどうしろっていうの
なんとよべばいいの
何と愚かなことを
大体な、見えないだけじゃなくて聞こえもしないのだぞ
我らが何を言ったってお前たちは聞こえないではないか
なにをいっているの
だってこうしてはなしているじゃない
お前はまだ理解していないのだ
お前は何も見えないし、聞こえないし、感じない
話せもしない
ただ思い込んでいるだけだ
お前の前に死神が現れて
黒い大きな鎌を持って
黒い服を着て
お前の言葉に返事をしている
そう思い込んでいるだけだ
そんな、そんな
だって、だって
何故ならお前は、死んでいるのだから
当たり前のことだろうが
それが死というものだ
全く無駄話が過ぎた
早くお前をカッテしまわなくては
ねえ、かられたらどうなるの
お前は全く懲りていないな
まあいい、どうせ聞こえないのだろうが、言ってやろう
「――――――――」
なにをいっているの
なにもきこえないわ
なにも
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